肺がん

肺がんとは?

肺がんが発症すると咳や声のかすれ、息切れ、発熱、顔や首のむくみなどの症状が伴うことがりますが、その頃にはかなり進行している可能性があります。さらに、胸の痛みや呼吸困難、背中や腰の痛みなどが現れたときにはすでに他臓器などへの浸潤、転移があり、手術が不適当な状態となっています。
肺がんの治療は手術を最優先します。大きく分けて、非小細胞肺がんと小細胞肺がんがあり、前者の場合、術後の5年生存率はステージⅠ期で60~70%です。術後は必要に応じて放射線治療や抗がん剤治療を行います。しかし、ステージⅢa期以降では5年生存率が20%と低く、注意深い看視が必要です。

種類

肺がんは発生部位によって、肺門型(中心型)肺がんと肺野型(末梢型)肺がんに大別されます。以下、組織学的見地からの解説です:
腺がんは肺の末梢に発生するがんの代表的なもので、非喫煙者の女性もかかるがんです。肺がん全体の60%を占め、肺がんの中では最も発生頻度の高いがんです。
扁平上皮がんは喫煙と関連の深いがんで、非喫煙者はまず罹らないがんであり、圧倒的に男性に多く、肺がん全体の約20%を占めます。肺門型肺がんの代表的なものですが、肺野に発生することも多いながら、扁平上皮がんの60%は末梢発生です。
小細胞がんもやはり喫煙との関連性が高いがんであり、大抵は発育が早く、小さなうちから転移をおこしやすいがんとして有名です。肺がんの15%程度ですが、発育、転移が早いため、発見されたときにはすでに進行している場合が多いです。
大細胞がんは肺がんの約5%程であり、発育が比較的早いという以外あまりはっきりした特徴は無いのですが、時に、がん細胞がホルモン分泌を合わせ持つことがあり、神経内分泌腫瘍の一つとして数えられています。

症状

発症するがんのタイプによっては、比較的早い時期から痰や血痰が伴うこともあります。一般的な症状としては、咳や痰、血痰、声のかすれ、息切れなどが起きます。さらに進行すると、胸に水が溜まったり、胸が痛んだり、あるいは呼吸困難などを起こすことがあります。また、顔や首のむくみ、息切れ、頭痛、めまい、腕の痛み、しびれなどが起きることがあります。

原因

喫煙が大きなリスク要因とされています。また、がんの組織型によってはアスベストやコールタール、放射線、ラドンなどによる室内環境汚染などにもリスク要因があると言われています。

生存率

5年生存率はステージⅠ期で70%、ステージⅡ期は50%、ステージⅢ期では20~30%です (非小細胞肺がんの場合) 。

再発転移

肺がんは血流の関係からも、転移しやすい部位は骨・脳・肝臓です。

治療

非小細胞肺がんについては、ステージ0期は外科手術で病巣を切除するか、レーザー治療で病巣を焼き切ります。ステージⅠ~Ⅲa期では外科手術で完全に病巣を切除します。 ステージⅢb~Ⅳ期になると完全に病巣を取り除くことが不可能なため、手術は行わず、抗がん剤や放射線治療を行います。小細胞肺がんの場合は、早期人発見され、且つ、病巣が限られていれば摘除手術を行うことがありますが、手術の適応となる場合は少なく、放射線、抗がん剤治療が主体となります。
当クリニックでは今迄に多くの肺がん患者さまへの治療に携わって来ましたが、腺がんか、小細胞肺がんか、それともそれら以外の組織か、それぞれの病態に合わせて樹状細胞ワクチン療法、活性化Tリンパ球療法、NK細胞療法を併せて用いることで対処、治療を行って来ました。因みに、小細胞肺がん以外の肺がんには約3年前から免疫チェックポイント阻害剤が標準治療として許可されており、即ち、今後は様々な角度からの治療が肺がんに対して行われる状況と成りつつあります。