症例報告 ―膵体尾部がん
当クリニックでの症例報告 ―膵体尾部がん
膵体尾部がんに対して抗がん剤と免疫療法を併用し、腹水の消失と肝臓への多発転移病巣も改善がみられる症例
- 患者さま:
- 69歳 女性
- 診断名:
- 膵体尾部がん
- 免疫療法:
- 樹状細胞ワクチン療法、活性化Tリンパ球療法、NK細胞療法
- 標準治療との併用:
- 抗がん剤治療
- 免疫療法開始時期:
- 2013年10月1日
- 症例報告時期:
- 2014年3月12日
- 担当医師:
- 神戸ハーバーランド免疫療法クリニック 横川 潔
治療内容と経過
2013年6月 | 腹部の膨満に気付く。 |
2013年8月 | 近医受診し、膵臓体部がん、多発肝転移、両側の胸腹水を指摘された。19日より抗がん剤ジェムザールを開始。 |
2013年9月 | 2日、当院受診 |
2013年10月 | 1日から樹状細胞ワクチン療法を開始。 29日からは活性化Tリンパ球療法とNK細胞療法を交互に施行開始。 それぞれ1回/2週間のペースにて施行。 |
2014年1月 | 樹状細胞ワクチン療法を計7回、活性化Tリンパ球療法とNK細胞療法を計6回施行。 |
腹水貯留のため腹部膨満感があったが抗癌剤による目立った副作用が殆ど認められず、胸水・腹水共に順調に減少し、2014年3月現在も治療を続けながらも生活の質を保たれ、元気に過ごされている。2013年11月のCTにて腹水の消失と肝転移巣の縮小が確認されている。
患者さまより
友人とお茶をしたり、旅行を楽しんだりと、癌が見つかる前にしていた事が治療を受けながら行う事ができて嬉しい、と治療中に話されていました。
担当医師から
膵臓がんは最も経過、予後の厳しいがんの一つとされており、特にこの患者さんの場合は診断時よりがんが原因と考えられる腹水が胸腔内まで拡がっており、より予後の厳しさが案じられました。しかしながら、治療開始後から現時点に至るまでの経過はすこぶる良好であり、今後もこの状況が続くよう、更に綿密な観察、そして治療を施していく所存です。