甲状腺がん

甲状腺がんとは?

甲状腺は成長促進や新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺は”喉仏”のすぐ下にあり、ここにできる腫瘍が甲状腺がんです。
比較的進行が遅く予後も良好と一般に知られていますが、それは大半を占める乳頭癌をさします。
未分化癌や低分化癌は、極めて進行が速くまた治療に抵抗します。

種類

●乳頭(にゅうとう)がん
甲状腺がんの約9割を占め、40歳~50歳代の女性に多い傾向があります。ゆっくりと進行するがんですが、比較的リンパ節へ転移しやすい性質です。

●濾胞(ろほう)がん
甲状腺がんの5%を占め、特に高齢者に多く見られます。治療後の経過は良好といえます。しかし、血液とともに転移する性質があり、転移した場合の経過は必ずしもよくありません。

●髄様(ずいよう)がん
甲状腺がんの約1〜2%を占め、カルシウムを調節するホルモンを分泌する細胞ががん化したものです。進行が早く転移を起こしやすい性質があります。

●未分化(みぶんか)がん
甲状腺がんの約1〜2%を占め、進行が早く、全身のあらゆる臓器、部分へ転移する悪性度の極めて高いがんです。

症状

主な症状は、のどのあたりにできるしこりです。それ以外では、のどの違和感や痛み、物が飲み込みにくい、声のかすれなどがあります。がんが進行すると声帯の麻痺や呼吸困難、嚥下障害、痛みなどが伴います。たとえ良性でも、腫瘍が大きくなると気管や食道を圧迫するため、息苦しさや嚥下障害などが現れます。

原因

現在のところ原因は不明ですが、ヨードの過剰摂取や放射線被ばく・遺伝などとも言われています。

生存率

未分化がん以外での術後の5年生存率は約92.1%です。

参考)
地域がん登録によるがん生存率データ(1993年~2002年診断例)

治療

基本的には手術を行い、甲状腺を切除するか、全摘出します。状態に応じてリンパ節も一緒に切除します。ただし、良性の場合は特に治療はせず経過を観察しますが、未分化がんの場合は発見時から周囲への浸潤、遠隔転移している場合が多く、最近では分子標的薬を中心とした薬物治療、放射線治療、そして手術等を合わせた集学的治療が行われます。
当院では、以上の標準治療と併せ、免疫療法の幾つかを駆使しながら治療に当たっていますが、最近に当クリニックで治療している未分化がん患者に対しては、計3種類の分子標的薬と、転移した頸部リンパ節への放射線治療、そして当クリニックでの免疫チェックポイント阻害剤と樹状細胞治療での集学的治療にて、発症後1年ながら寛解状態にあり、完全寛解をも目指そうとしています。